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『DJI RS 5』解説レビュー|ソロ撮影の限界を突破する「第5世代」の進化とは

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2026年1月29日、映像制作の現場に新たなスタンダードが誕生しました。DJIから発表された最新のプロ向けスタビライザー「DJI RS 5」です。

前モデルであるRS 4シリーズの登場から約2年、ついにナンバリングが「5」へと更新されました。多くのビデオグラファーが抱えていた「あと少しパワーが欲しい」「トラッキングをもっと手軽にしたい」「セットアップの時間を短縮したい」という現場の切実な声に、DJIは明確な答えを出してきました。

この記事では、この最新機種DJI RS 5が、実際の撮影現場でどのような恩恵をもたらすのか、スペックの数値だけでは見えてこない実用的な進化点を中心に徹底的に解説します。

これからスタビライザーを導入しようとしている方はもちろん、RS 3やRS 4からの買い替えを検討しているクリエイターにとっても、判断の指針となる情報をお届けします!


DJI RS 5が登場した背景と市場での立ち位置

映像制作の現場、特にワンオペレーション(単独撮影)や少人数チームでの撮影において、機材の「軽量化」と「高機能化」の両立は永遠の課題です。ミラーレスカメラの動画性能が飛躍的に向上し、シネマティックな映像が個人でも撮れるようになった現在、ジンバル(スタビライザー)に求められる役割も変化しています。単に「手ブレを止める」だけでなく、「フォーカスを合わせ続ける」「構図を自動で維持する」といった、撮影アシスタントのような機能が求められているのです。

DJI RS 5は、シリーズにおけるミドルクラスの決定版として位置づけられています。軽量な「Mini」と、大型シネマカメラ向けの「Pro」の間にありながら、今回のRS 5はProモデルに迫る、あるいは部分的には凌駕するほどの操作性を獲得しています。特に注目すべきは、第5世代アルゴリズムによる基本性能の底上げと、AIを駆使したトラッキング性能の進化です。

圧倒的な安定感を生む「第5世代RS安定化アルゴリズム」

ジンバルの心臓部とも言えるのが、揺れを検知してモーターを制御するアルゴリズムです。DJI RS 5では、これが第5世代へと進化しました。特筆すべきは、モータートルクの最大出力が前モデル比で50%も向上している点です。

なぜトルクアップが重要なのか

スペック上の「最大積載量(ペイロード)」は3kgであり、これは前モデルのRS 4と同じです。ここだけを見ると「進化していないのでは?」と感じるかもしれませんが、それは大きな誤解です。ペイロードはあくまで「載せられる重さ」の上限であり、トルクの強さは「その重さを制御する力」を指します。

トルクが50%向上したことで、以下のようなシチュエーションで劇的な違いが生まれます。

  • 強風下での撮影:屋外での撮影時、風の抵抗を受けてもカメラが流されにくくなります。
  • 高速移動時の撮影:車から身を乗り出しての撮影や、並走して走るシーンなど、G(重力加速度)がかかる場面でもモーターが負けることなく水平を維持します。
  • バランスが完全でない時:現場で急いでレンズ交換を行い、バランス調整が厳密に追い込めていない状態でも、強力なモーターパワーで強制的に安定させることが可能です(もちろん、バッテリー消費の観点からバランス調整は推奨されます)。

実際に、歩きながらや走りながらの撮影においても、この第5世代アルゴリズムは微細な振動を効果的に吸収します。特に、焦点距離の長いレンズを使用した際に顕著に現れる微細なブレが、強力なトルクによって抑え込まれるのは、プロにとって非常に心強い点です。

スマートトラッキングの革命:車もペットも逃さない

DJI RS 5の目玉機能の一つが、進化したトラッキングシステムです。「RS 強化型スマートトラッキングモジュール」を装着することで、ソロ撮影の可能性が無限に広がります。

人物以外の被写体にも対応

これまでのトラッキング機能は主に人物の顔や体を認識することに特化していましたが、RS 5では認識対象が大幅に拡大しました。車やペットなど、形状が複雑で動きが予測しにくい被写体であっても、正確に追従することが可能です。

例えば、ドッグランを走り回る犬をローアングルで追いかけるシーンや、サーキットを走る車をパンニングで追うシーンなど、従来であれば熟練のカメラワークが必要だったカットが、オートマチックに撮影できるようになります。

ジンバル画面だけで完結する操作性

従来、高度なトラッキングを行うにはスマートフォンをホルダーで取り付け、アプリを介して操作する必要があるケースが多くありました。しかし、RS 5の新しいモジュールは、ジンバル本体のタッチ画面上でライブ映像を確認し、被写体をタップ&ドラッグするだけでトラッキングを開始できます。

スマートフォンを接続する手間が省けるため、セットアップ時間が大幅に短縮されます。また、被写体がフレームから外れてしまった場合でも、モジュールが再認識して即座にトラッキングを復帰させる能力を持っています。最大10メートル離れた場所からでもフォーカスと構図を維持し続ける性能は、混雑したイベント会場や結婚式の撮影などで威力を発揮するでしょう。


現場のストレスを解消する「ユーザビリティ」の改善

スペック表には現れにくい部分ですが、毎日のように機材を触るクリエイターにとって最も恩恵が大きいのが、物理的な使い勝手の向上です。DJI RS 5は、先代ユーザーの声に真摯に耳を傾けた改良が随所に施されています。

全軸に搭載された微調整ノブ

ジンバル撮影において最も時間を取られるのが「バランス調整」です。ミリ単位でアームをスライドさせる作業は、繊細かつストレスフルなものでした。

RS 5では、パン、チルト、ロールのすべての軸に「微調整ノブ」が搭載されました。これにより、ノブを回すだけでギア制御による精密なバランス調整が可能になります。指先でアームを叩いて微調整していた時代は終わりました。さらに、アームにはテフロン加工が施されており、摩擦抵抗が減らされています。重いレンズを載せている状態でも、滑らかにアームを動かすことができるため、レンズ交換ごとの再調整が苦になりません。

縦揺れを可視化する「Z軸インジケーター」

ジンバル初心者が最も苦労するのが、歩行時に発生する上下動(縦揺れ)の抑制です。これはジンバルの構造上、モーターだけでは吸収しきれない揺れであり、撮影者の歩き方(通称:ジンバル歩き)でカバーする必要がありました。

RS 5には、画面上に「Z軸インジケーター」を表示する機能が追加されました。これは、現在の歩き方やペースがどれくらい縦揺れを引き起こしているかを視覚的にフィードバックしてくれるものです。このインジケーターを見ながら歩幅や速度を調整することで、まるでレールを敷いたかのような滑らかな移動ショットを、より短期間の習熟で実現できるようになります。

刷新された「電子ブリーフケースハンドル」

ローアングル撮影に欠かせないブリーフケースハンドルも進化しました。新たに電子接点を持つことで、ハンドル上のジョイスティックやボタンからジンバルやカメラを操作可能になりました。

これまでは、ローアングル時に設定を変えようとすると、一度持ち替えて本体の画面やボタンを操作する必要がありました。しかし、新しい電子ブリーフケースハンドルを使えば、そのままの体勢でパン・チルトの操作や録画の開始・停止が行えます。人間工学に基づいたグリップ形状も相まって、手首への負担を軽減しつつ、より複雑なカメラワークを片手でこなせるようになります。

バッテリーと給電システムの進化

長時間のロケ撮影において、バッテリー切れは致命的です。RS 5はこの点においても大きなアドバンテージを持っています。

充電効率が60%向上

特筆すべきは充電速度です。PD(Power Delivery)対応の65W充電器を使用した場合、わずか1時間でフル充電が完了します。これは前モデルと比較して60%もの効率化です。お昼休憩の間に継ぎ足し充電をするだけで、午後の撮影分を十分に確保できるレベルです。

標準バッテリーの駆動時間は14時間と、前モデルの12時間から2時間延長されました。さらに、別売りの大容量バッテリーグリップ「BG70」を使用すれば、最大30時間という驚異的な駆動時間を実現します。数日間にわたるタイムラプス撮影や、電源確保が難しい山間部でのロケでも、バッテリー残量を気にすることなく制作に没頭できます。

カメラとの互換性と接続性

DJI RS 5は、対応するカメラメーカーの幅をさらに広げました。

Bluetoothシャッターの対応拡大

ケーブルレスで録画開始や停止を制御できるBluetoothシャッター機能。これまではSony、Canon、Nikonの主要機種が中心でしたが、RS 5からはPanasonicと富士フイルム(Fujifilm)のカメラもサポート対象となりました。

特に動画機として人気の高いLUMIXシリーズや、独自の色表現でファンが多いXシリーズのユーザーにとって、ケーブルの煩わしさから解放されるのは朗報です。ケーブルが一本減るだけで、バランス調整への干渉がなくなり、セットアップがよりシンプルになります。

焦点距離の長いレンズへの対応

チルト軸のアーム長が前モデル比で8%拡大されています。これにより、フロントヘビーになりがちな長めのズームレンズや、シネマレンズを装着した場合でも、カメラ背面がアームに干渉しにくくなりました。BMPCC 6K Proのような横幅のあるカメラや、24-70mm F2.8クラスの標準ズームレンズにNDフィルターやマットボックスを装着した状態でも、余裕を持ってバランスを取ることができます。


スペック比較:RS 5 vs RS 4

ここで、前モデルとの主な違いを表で確認してみましょう。

項目DJI RS 5DJI RS 4備考
価格(税込)68,860円(単体)66,000円(発売時)若干の価格上昇だが機能向上を加味すると妥当
最大積載量3.0 kg3.0 kg数値は同じだがトルク強度は別物
本体重量約1.46 kg約1.4 kgバッテリーグリップ等含む
モータートルク50%向上(対RS4)風や高速移動に強くなった
バッテリー駆動14時間(標準)/ 30時間(BG70)12時間標準でも2時間延長
充電時間約1時間約1.5時間急速充電対応
バランス調整全軸微調整ノブ搭載一部軸のみセッティング速度が劇的向上
Bluetooth制御Sony, Canon, Nikon, Pana, FujiSony, Canon, Nikon対応メーカー拡大
チルト軸8% 延長長いレンズや重装備に対応しやすく

クリエイティブな拡張性:DJIエコシステムの活用

RS 5は単体でも優秀ですが、DJIが構築する「エコシステム」の一部として機能させることで、その真価を発揮します。

Focus Pro モーターとの連携

別売りの「DJI Focus Pro モーター」を最大2台まで同時に制御可能です。これにより、片方のモーターでフォーカスを、もう片方でズームを操作するといった高度な制御が実現します。

RS 5本体のジョイスティックでパワーズームのような操作を行い、ダイヤルホイールでフォーカスを合わせるといった割り当てが可能です。単焦点レンズのシネマティックなボケ味を活かした撮影だけでなく、ズームレンズを使ったドリー・ズーム(ヒッチコック・ズーム)のような演出も、一人でコントロールできるようになります。

DJI SDR Transmissionによる遠隔制御

チームでの撮影においては、映像伝送システム「DJI SDR Transmission」との連携が強力です。カメラの映像を高画質でモニタリングできるだけでなく、離れた場所からジンバルの動きやカメラの設定をコントロールすることが可能になります。車載撮影などでカメラマンが乗り込めない狭い場所でも、遠隔操作で完璧な構図を狙うことができます。

購入ガイド:単体か、コンボか

DJI RS 5の購入を検討する際、悩ましいのが「単体(68,860円)」にするか「コンボ(79,200円)」にするかという選択です。価格差は約1万円です。

コンボに含まれる主な追加アクセサリー

  • RS 強化型スマートトラッキングモジュール:これ単体でも数千円〜1万円相当の価値がある機能拡張です。
  • 電子ブリーフケースハンドル:ローアングル撮影を多用する場合、必須級のアイテムです。
  • キャリーケース:精密機器であるジンバルを安全に運搬するために不可欠です。

どちらを選ぶべきか

予算が許すのであれば、間違いなく**「コンボ」を推奨**します。特に今回の目玉機能である高度なトラッキングや、新しい電子ハンドルの利便性を享受するには、コンボに含まれるアクセサリーが必要です。これらを後から単品で買い揃えると、トータルの出費は確実に高くなります。

一方、すでにRSシリーズの旧モデルを持っており、ブリーフケースハンドルやケースを流用できる(互換性は要確認ですが)場合、あるいはトラッキング機能は使わず、純粋に手ブレ補正機能だけが必要な場合は、単体モデルでも十分にその性能を体感できるでしょう。

総評:プロフェッショナルのための「正当進化」

DJI RS 5は、奇をてらった機能追加ではなく、ビデオグラファーが現場で直面する「困りごと」を一つ一つ丁寧に解決してきた、極めて実用的なモデルです。

トルクアップによる安定性の向上、全軸ノブによるセッティングの時短、充電速度の改善、そして操作系統の集約。これらはすべて、クリエイターが「機材の操作」ではなく「映像表現」に集中するための進化と言えます。

もしあなたが、現在の機材でのセットアップに時間を取られすぎていると感じていたり、風のある屋外や動きの激しい被写体の撮影でスタビライズ性能に限界を感じているなら、DJI RS 5への投資は、その後の制作効率とクオリティ向上によって十分に回収できるはずです。

手持ちのカメラ機材がミラーレス主流であるなら、このRS 5は今後数年間の相棒として、揺るぎない信頼を提供してくれるでしょう。

ご自身の撮影スタイルに合わせて、まずは製品ページで詳細な互換性をチェックしてみてはいかがでしょうか。機材のアップデートは、あなたの映像表現を次のステージへと引き上げる最初の一歩になるはずです!


この記事を書いた人
kauwo

国立大学卒。成人男性です。
最新のテクノロジーやガジェットに常に注目し、日常生活で学んだこと等をシェアしています。

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