毎朝のシェービング、あなたは満足していますか。鏡を見たときにアゴ下に残る剃り残しや、剃った直後の肌のヒリつきに悩まされているなら、道具を見直すタイミングかもしれません。
今回ご紹介するのは、ブラウン(BRAUN)の最高峰ラインがさらなる進化を遂げた『シリーズ9 Pro+(型番:9655cceなど)』です。
結論から申し上げますと、この製品は「深剃りを極めたいけれど、肌も絶対に傷つけたくない」という、相反する願いを持つ男性にとって、投資する価値が極めて高い一台です。最大の特徴は、約10年ぶりに刷新された深剃り刃にあります。これにより、肌面よりさらに奥、マイナス0.01mmの深剃りを実現しながら、肌への負担を最小限に抑えることに成功しました。
本記事では、メーカーが提示するスペックや特徴を細部まで分析し、なぜこのシェーバーが「最高峰」と呼ばれるのか、その理由と実際の使い勝手を余すところなく解説します。高額な買い物で失敗したくないあなたのための、完全ガイドです。
現代のシェービング事情とシリーズ9 Pro+登場の背景
まずは、なぜ今、これほどまでにハイスペックなシェーバーが必要とされているのか、その背景に少し触れておきましょう。
2024年に行われた調査によると、日本人男性の約57%が電気シェーバーを使用しています。依然としてカミソリ派を上回る数字ですが、同時に「肌の悩み」を抱える男性が急増しているというデータもあります。2019年には61%だった悩みを持つ人の割合が、2024年には74%にまで上昇しました。
その悩みの第1位は「カミソリ負け」です。
清潔感を保つためにしっかりと深剃りをしたい。しかし、深剃りを追求すればするほど、刃が肌に強く当たり、角質層を傷つけてしまう。この「深剃り」と「肌への優しさ」のジレンマは、長年多くの男性を苦しめてきました。シェーバー選びにおいて、価格の次に重視されるのが「深剃り性能」であることからも、この課題の深刻さが伺えます。
ブラウンが満を持して投入した『シリーズ9 Pro+』は、まさにこの葛藤を解消するために開発された製品です。キーワードは「驚きのひと剃り」。何度も肌の上を往復させることなく、少ないストロークで決着をつける。それが肌を守る最短のルートだという答えを、この製品は提示しています。
10年ぶりの大革新!進化した「深剃り刃」の凄み
シリーズ9 Pro+を語る上で避けて通れないのが、約10年ぶりにアップグレードされた深剃り刃、「極薄マイクロ刃」の存在です。これが今回のモデルチェンジの核心部分です。
安定性が45%向上した極薄マイクロ刃
従来のシリーズ9も十分に高性能でしたが、新しいPro+では、刃の構造そのものが見直されました。具体的には、刃の安定性が従来比で45%向上しています。
刃の安定性が増すと何が良いのでしょうか。それは「刃のしなり」が軽減されることです。微細な刃がブレずにしっかりと立つことで、ヒゲのカット面がまっすぐになります。スパッと切れる包丁と、切れ味の悪いナイフの違いを想像してみてください。断面がきれいであればあるほど、肌触りは滑らかになり、ジョリジョリとした不快感が残らなくなります。
肌下マイナス0.01mmの世界
この改良された刃と、ブラウン独自の「ディープキャッチ網刃」が組み合わさることで、肌の表面よりもわずかに下、マイナス0.01mmまでヒゲを剃り切ることが可能になりました。
これは、単に短く剃れるというだけではありません。「夕方のヒゲ」への影響が劇的に変わります。朝剃っても夕方には青くなってしまう現象は、剃り残しや深剃りの甘さが原因の一つです。肌下から処理することで、次にヒゲが表面に出てくるまでの時間を稼ぐことができます。まさに「夕方ヒゲ、ゼロへ」というキャッチコピー通りの体験が期待できるのです。
賢くなった頭脳「PRO人工知能テクノロジー」
ハードウェア(刃)の進化に加え、ソフトウェア(AI)の進化も見逃せません。シリーズ9 Pro+には、ユーザーのヒゲの状態に合わせてパワーを自動調整する「PRO人工知能テクノロジー」が搭載されています。
読み取り回数が約2倍に
前モデルと比較して、最も大きな違いはその処理速度です。
- 従来モデル:毎秒160回
- シリーズ9 Pro+:毎秒300回
ヒゲの濃さを読み取る回数が約2倍に増えました。人間の顔は場所によってヒゲの濃さが全く異なります。鼻の下は濃く、頬は薄い、アゴ下はクセがあるなど、複雑です。
毎秒300回という驚異的なスピードでセンシングを行うことで、濃い部分にはパワーを集中させ、薄い部分では優しく剃るという微調整を、ユーザーが意識することなくリアルタイムで行ってくれます。これにより、無駄な力が肌にかかるのを防ぎ、結果としてカミソリ負けのリスクを大幅に低減します。
5+1カットシステム:あらゆるヒゲを逃さない仕組み
ブラウンの最高峰モデルを象徴するのが、ヘッドに搭載された複数の異なる刃です。シリーズ9 Pro+では「5+1カットシステム」を採用しています。それぞれの刃が異なる役割を持ち、チームプレーでヒゲを処理します。
- ディープキャッチ網刃(2枚):900種類もの網目を持ち、様々な向きに生えたヒゲを取り込みます。これが肌下-0.01mmを実現する主役です。
- 極薄プロブレード:寝ているヒゲを持ち上げてカットするための刃です。チタンコーティングが施されており、耐久性と肌への滑りの良さを両立しています。
- くせヒゲキャッチ刃:あちこちを向いて生えている厄介なヒゲを整えてカットします。
- スキンガード:刃と刃の間に配置されたステンレススチールバーで、肌を過度な押し付けから保護します。
- キワゾリ用プロトリマー:ヘッドの背面に搭載されたトリマーです。
特に注目すべきは、5つ目の要素である「キワゾリ用プロトリマー」の進化です。医療用レベルのステンレス鋼を使用しており、切れ味が抜群です。長く伸びたもみあげや、剃り残しやすい口角のヒゲなどを整える際に重宝します。幅広で設計されているため、狙ったラインをバシッと決めることができます。
ユーザー体験を変えるユーザビリティ
毎日使う道具だからこそ、剃り味以外の使い勝手も重要です。シリーズ9 Pro+は、その点においても抜かりがありません。
パフォーマンスアシスタントディスプレイ
本体のディスプレイが進化し、必要な情報を直感的に把握できるようになりました。
- 洗浄催促マーク:いつ洗うべきかをお知らせ。
- 替刃交換催促マーク:切れ味が落ちる前に交換時期を通知。
- 充電残量表示:バッテリー切れの不安を解消。
特に洗浄や替刃のタイミングは、自分で管理しようとすると忘れがちです。常に最高のパフォーマンスで剃れるよう、シェーバー側が管理してくれるのは大きなメリットです。
6 in 1 全自動アルコール洗浄システム
ブラウンといえば、アルコール洗浄システムです。今回のモデルにも、もちろん対応しています(モデルにより付属有無が異なりますが、9655cceには付属)。
ボタン一つで以下の6つの工程を自動で行います。
- 洗浄(皮脂汚れやヒゲくずを除去)
- 除菌(アルコールで99.9%の細菌を除去)
- 潤滑化(刃の動きを滑らかに維持)
- 乾燥(送風で乾かす)
- 充電(次回の使用に備える)
- 刃の劣化防止
水洗いだけでは落ちにくい皮脂汚れも、アルコール洗浄ならスッキリ落ちます。毎日新品のような剃り味を維持するためには、このドックの存在が不可欠です。レモンのような爽やかな香りが付くのも、朝の気分を上げてくれるポイントです。
充電トラベルケース(9655cceの特徴)
今回レビューの対象としている型番「9655cce」には、充電機能付きのトラベルケースが付属しています。
これは単なる収納ケースではありません。ケース自体にバッテリーが内蔵されており、シェーバー本体を収納するだけで充電が行われます。入力情報によると「90分の充電で最大6週間の使用が可能」との記載があります。これはおそらく、ケースと本体のバッテリーを併用した場合の換算かと思われますが、いずれにせよ長期の出張や旅行でも充電アダプターを持ち歩く必要がなくなるのは画期的です。
スペック詳細と競合比較
ここで、シリーズ9 Pro+の基本的なスペックと、前モデルや競合となりうる製品との比較を整理します。
基本仕様一覧
| 項目 | 内容 |
| 製品名 | ブラウン シリーズ9 Pro+ (9655cce) |
| カットシステム | 5+1 カットシステム |
| AI機能 | PRO人工知能テクノロジー(毎秒300回読み取り) |
| ヘッドの動き | 前後40°密着ヘッド |
| 防水性能 | 100%防水(お風呂剃り対応) |
| 電源方式 | 充電式(リチウムイオン電池) |
| 稼働時間 | フル充電で約60分連続使用 |
| 充電時間 | 約1時間(5分間の急速充電で1回分使用可能) |
| 洗浄システム | 6 in 1 全自動アルコール洗浄 |
| 付属品 | シェーバー本体、アルコール洗浄システム、洗浄液カートリッジ、充電トラベルケース、ブラシ、専用コード |
| 生産国 | ドイツ |
| メーカー保証 | 最長5年間(要条件確認) |
| 参考価格 | 約67,980円(税込) |
※価格は時期や販売店により変動します。
※重量やサイズの実数値は公式の最新情報を確認してください。
前モデル(Series 9 Pro)との比較
購入を迷われている方が最も気になるのは「旧モデルと何が違うのか」という点でしょう。主な違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 新:シリーズ9 Pro+ | 旧:シリーズ9 Pro | 進化のポイント |
| 深剃り刃 | 極薄マイクロ刃(新型) | 従来の深剃り刃 | 刃の安定性が45%向上し、より均一で滑らかな深剃りが可能に。 |
| AIセンシング | 毎秒300回 | 毎秒160回 | 読み取り速度が約2倍。よりきめ細かくパワーを制御し肌への負担減。 |
| キワゾリ刃 | プロトリマー | 通常トリマー | 医療用ステンレス鋼を採用し、切れ味とデザインを一新。 |
| ディスプレイ | パフォーマンスアシスタント | 標準ディスプレイ | メンテナンス時期などがより分かりやすく表示されるように進化。 |
このように比較すると、Pro+はマイナーチェンジにとどまらず、シェービングの「質」に関わる核心部分(刃とAI)にしっかりと手が入っていることがわかります。
用途別・こんな人におすすめ
シリーズ9 Pro+は素晴らしい製品ですが、すべての人にとって最適解とは限りません。どのようなニーズを持つ人にマッチするのか、タイプ別に推奨します。
1. 剛毛・濃いヒゲに悩む人:【推奨度:特大】
理由:5+1カットシステムと毎秒300回のAIセンシングが最も真価を発揮します。何度も往復させて肌を痛めていた過去とは決別できます。「ひと剃り」で剃れる感覚は、ヒゲが濃い人ほど感動が大きいはずです。
2. 肌が弱く、カミソリ負けしやすい人:【推奨度:大】
理由:逆説的ですが、深剃りできるシェーバーほど、肌への接触回数が減るため肌に優しいのです。刃の安定性が増したことで、余計な振動や引っ掛かりが減り、ヒリヒリ感が軽減されています。
3. 出張や移動が多いビジネスマン:【推奨度:大(9655cceの場合)】
理由:充電トラベルケースの存在が大きいです。ACアダプターを持ち運ぶ煩わしさから解放され、常にフル充電の状態で使用できます。
4. コスパ最優先の人:【推奨度:中】
理由:約6万円後半という価格は決して安くありません。剃り味よりも価格を重視する場合は、下位シリーズ(シリーズ7や5)や、旧モデルの在庫を狙うのも一つの手です。しかし、毎日使うものであり、替刃交換だけで数年使い続けられることを考えれば、日割り計算でのコストパフォーマンスは決して悪くありません。
実際に購入する際の注意点とデメリット
公平なレビューとして、デメリットや注意点についても触れておきます。
1. ランニングコスト
本体価格だけでなく、維持費がかかります。アルコール洗浄液のカートリッジは定期的に交換が必要です(使用頻度によりますが、数週間〜1ヶ月に1個程度)。また、刃の交換推奨期間は18ヶ月です。最高の剃り味を維持するには、これらのコストが必要です。ただし、洗浄液による清潔さと、刃の交換による切れ味の復活は、それに見合う価値があります。
2. 設置スペース
アルコール洗浄システム(洗浄機)はそれなりの大きさがあります。洗面台に置くスペースがあるか、事前に確認することをおすすめします。
3. 動作音
パワフルなモーターと毎秒1万回の音波振動により、それなりの駆動音がします。静音性を極端に重視する方は、実機で確認したほうが良いでしょう。ただし、これはパワーの裏返しでもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. お風呂剃りはできますか?
A. はい、100%防水設計ですので、お風呂場でのシェービングや、シェービングフォームを使用したウェット剃りにも対応しています。
Q. 旧モデル(シリーズ9 Pro)の洗浄機は使えますか?
A. 基本的にシリーズ9 Pro用の洗浄機との互換性は高い傾向にありますが、最適なパフォーマンスを得るためには、同梱されている最新の洗浄システムの使用を推奨します。
Q. 替刃だけの購入はできますか?
A. 可能です。アップグレードされた新しい替刃は単独でも販売されており、実は従来のシリーズ9 Pro本体にも装着可能です。旧モデルをお持ちの方は、まずは替刃だけを新しいものに変えてみるというのも賢い選択肢です。
Q. 充電トラベルケースだけでどれくらい持ちますか?
A. ケース自体をフル充電(90分)しておけば、本体のバッテリーと合わせて最大6週間程度の使用が可能とされています(使用頻度による)。
まとめ:シリーズ9 Pro+は「時間の投資」である
ブラウン シリーズ9 Pro+(9655cce)は、単なるヒゲ剃り機の枠を超えた、男性のライフスタイルを向上させるガジェットです。
10年ぶりに進化した「極薄マイクロ刃」による圧倒的な深剃り。
「PRO人工知能」による、個々の肌に合わせた優しいタッチ。
そして、「充電トラベルケース」や「アルコール洗浄」によるメンテナンスフリーな運用。
これらがもたらすのは、「夕方まで続く清潔感」と「朝のシェービング時間の短縮」、そして「肌トラブルからの解放」です。
価格は決して安くありませんが、毎朝の5分、10分の苦戦が数分の快適な体験に変わるとしたらどうでしょうか。5年以上使うと仮定すれば、1日あたりのコストは決して高くありません。
「夕方のジョリジョリをなくしたい」「肌をいたわりたい」と本気で考えているなら、このシリーズ9 Pro+は、間違いなくあなたの期待に応えてくれる相棒となるでしょう。毎朝、指でなぞるのが楽しみになるような滑らかな肌を、ぜひ手に入れてください。
もし、今のシェーバーに少しでも不満があるなら、この進化を体験しない手はありません。あなたの肌で、その「ひと剃り」の違いを確かめてみてください。



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