完全ワイヤレスイヤホン市場において、圧倒的なコストパフォーマンスで存在感を示し続けているEarFun。その最新モデルであり、ブランドの集大成とも言える「EarFun Air Pro 4+」が、2025年11月17日に登場しました。
多くのユーザーが抱える「音質にはこだわりたいが、ハイエンドモデルには手が届かない」「ノイズキャンセリング性能も妥協したくない」という悩みに対し、本機は明確な回答を提示しています。1万円台前半(税込13,990円前後)という価格帯でありながら、ハイブリッドドライバー構成、aptX LosslessおよびLDACへの対応、そして最大50dBのノイズキャンセリング性能を備えている点は、まさに規格外と言えるでしょう。
この記事では、EarFun Air Pro 4+のスペックや特徴を詳細に分析し、その実力が実際の使用シーンでどのようなメリットをもたらすのかを徹底的にレビューしていきます。音楽体験をアップグレードしたい方や、通勤・通学の快適性を高めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
独自の音響構造「NSAA」がもたらす音質の革新
EarFun Air Pro 4+の最大のトピックは、音質の根幹をなすドライバーユニットの構成にあります。本機はブランド初となる「ハイブリッドドライバー構成」を採用しました。これは、低音域の再生に優れたφ10mmダイナミックドライバー(DD)と、中高音域の繊細な表現を得意とするバランスドアーマチュアドライバー(BA)を各1基ずつ搭載する仕組みです。
11度の傾斜が意味するもの
単に2種類のドライバーを積むだけでは、高音質なイヤホンは完成しません。異なる駆動方式を持つドライバーが近接することで発生する「磁気干渉」が、音を濁らせる原因となるからです。
そこでEarFunが開発したのが、独自の「オフアクシス配置音響構造(Nano Side-Fitted Acoustic Architecture、NSAA)」です。これは、ダイナミックドライバーに対してバランスドアーマチュアドライバーを「11度」傾けて配置するという精密な設計です。幾度もの試作を経て導き出されたこの角度により、ドライバー間の磁気干渉を物理的に抑制することに成功しました。
期待されるサウンド体験
この構造により、高音域の減衰が最小限に抑えられ、透明感と明瞭さが飛躍的に向上しています。従来の同価格帯のイヤホンでは音が埋もれがちだった複雑な楽曲でも、ボーカルの息遣いや楽器の余韻まで鮮明に描写されることが期待できます。私たちが追い求めていた「クリアで抜けの良いサウンド」が、この技術によって実現されているのです。
Snapdragon Sound対応による接続性の極地
音の入り口である「接続品質」においても、EarFun Air Pro 4+は妥協のないスペックを誇ります。Qualcomm社の最先端チップ「QCC3091」を搭載し、次世代のオーディオソリューション「Snapdragon Sound」に対応しました。これにより、再生機器からイヤホンまで、音のデータを極めて高品質に送り届けることが可能です。
CD品質を無劣化で伝送するaptX Lossless
特筆すべきは「aptX Lossless」への対応です。従来のBluetooth伝送では、どうしても音声データが圧縮され、一部の情報が失われていました。しかし、aptX Losslessに対応したスマートフォンと組み合わせることで、CD品質(16bit/44.1kHz)の音声信号をビットロスなく、無劣化で伝送できます。これは、ワイヤレスでありながら有線接続に匹敵する純度で音楽を楽しめることを意味します。
ハイレゾの定番LDACも網羅
さらに、日本オーディオ協会が定めるハイレゾオーディオワイヤレス規格「LDAC」もサポートしています。最大96kHz/24bitの情報量を伝送できるため、ハイレゾ音源が持つ空気感や繊細なニュアンスを余すところなく再現可能です。Androidユーザーにとって、選択肢の幅が広がる非常に嬉しい仕様と言えるでしょう。
次世代規格LE AudioとAuracast
将来を見据えた機能として「Bluetooth LE Audio」およびその標準コーデック「LC3」にも対応しています。低消費電力でありながら高音質を実現するこの規格は、イヤホンのバッテリー持ちにも寄与します。
また、注目すべきは「Auracast」への対応です。これは「1対多」の音声共有を可能にする技術です。これまでのBluetoothは1対1の接続が基本でしたが、Auracast対応により、1台の送信機から複数の受信機へ同時に音声を放送(ブロードキャスト)できます。例えば、空港やジムの共有テレビの音声を自分のイヤホンで聴いたり、友人と一緒に同じ音楽を高音質で楽しんだりと、活用の幅が大きく広がります。EarFun Air Pro 4+は、これからの時代のスタンダードとなる機能をいち早く取り入れています。
静寂を作り出すQuietSmart 3.0 ANC
通勤電車やカフェでの作業時など、周囲の騒音をカットしたいシーンで重要になるのがアクティブノイズキャンセリング(ANC)性能です。EarFun Air Pro 4+は、独自の「QuietSmart 3.0」テクノロジーを搭載し、最大50dBという驚異的なノイズ低減レベルを実現しています。
ハイブリッドANCの仕組み
高いノイズキャンセリング効果を生み出すために、イヤホンの外側に配置されたフィードフォワードマイクと、内側に配置されたフィードバックマイクを併用する「ハイブリッド方式」を採用しています。特にフィードバックマイクを出音口の近くに配置することで、耳の内部に侵入したノイズも正確に検知し、打ち消すことが可能です。
リアルタイムで最適化される静寂
QuietSmart 3.0の真価は、その処理能力にあります。音楽信号とノイズ、そしてドライバーユニットと耳の間の音響特性を、1秒間に400回以上という頻度で検知・分析しています。これにより、常に変化する周囲の騒音状況に合わせて、最適なノイズキャンセリング効果をリアルタイムに提供します。
また、ANC特有の圧迫感や風切り音の低減にも配慮されており、外音取り込みモード時にはイヤホンをしていないかのような自然な響きを実現しています。数値上のスペックだけでなく、実際の使い心地にもこだわった設計です。
利便性を追求した機能群
日常的に使うデバイスだからこそ、使い勝手の良さは音質と同じくらい重要です。EarFun Air Pro 4+は、ユーザーのストレスを解消する多くの機能を備えています。
LDACと共存するマルチポイント接続
複数のデバイス(例えばスマートフォンとPC)に同時に接続できる「マルチポイント接続」は、現代のワークスタイルには必須の機能です。しかし、多くの機種では「LDACなどの高音質コーデックとマルチポイントは併用できない」という制約がありました。
EarFun Air Pro 4+ではシステムを根本から見直し、この課題を解決しました。LDACで高音質な音楽を楽しみながら、PCでのオンライン会議の着信を待つといった使い方が可能です。この「全部入り」の仕様は、テック好きのユーザーにとって大きなメリットとなります。
圧倒的なバッテリーライフ
バッテリー性能も優秀です。ANCオフの状態であれば、イヤホン単体で最大12時間、充電ケースを併用すれば最大54時間の連続再生が可能です。これだけのスタミナがあれば、長時間のフライトや数日間の出張でも、充電切れを心配する必要はほとんどありません。
ANCオンの状態でも単体で最大8時間、ケース併用で最大36時間の再生が可能であり、実用性は十分です。万が一充電が切れても、わずか10分の充電で最大3時間再生できる急速充電に対応しているほか、ケースはワイヤレス充電もサポートしており、日々の運用が非常にスムーズです。
通話品質とIP55防塵防水
通話機能には、左右合計6基の高性能マイクとcVc 8.0、そしてAI技術を活用したアルゴリズムを導入しています。街の喧騒や風切り音などの環境ノイズを効果的に除去し、自分の声を相手にクリアに届けます。ビジネスシーンでの通話も安心して行えます。
また、本体はIP55等級相当の防塵防水性能を有しています。完全防水ではありませんが、ランニング中の汗や、突然の雨程度であれば問題なく使用できます。スポーツ用途としても十分な耐久性を備えています。
アプリによるカスタマイズ性
専用アプリ「EarFun Audio」(iOS/Android対応)を使用することで、EarFun Air Pro 4+のポテンシャルをさらに引き出すことができます。
- EQプリセット: ロックやポップスなど、10種類のプリセットから好みの音質を選択できます。もちろん、自分好みに細かく調整することも可能です。
- 環境音再生: 自然の音など20種類以上を収録しており、集中したい時やリラックスしたい時に役立ちます。
- 操作カスタマイズ: タッチ操作の割り当てを変更したり、ゲームモード(低遅延モード)のオンオフを切り替えたりできます。
- ファームウェアアップデート: 将来的な機能追加や改善に対応するため、アプリ経由でのアップデートが可能です。
スペック比較と主要機能まとめ
ここで、EarFun Air Pro 4+の主な仕様を整理します。競合製品と比較する際の参考にしてください。
| 項目 | 仕様・詳細 |
| 製品名 | EarFun Air Pro 4+ |
| 発売日 | 2025年11月17日 |
| 実勢価格 | 税込13,990円前後 |
| ドライバー構成 | 10mmダイナミックドライバー + バランスドアーマチュア(ハイブリッド構成) |
| 音響構造 | オフアクシス配置音響構造 (NSAA) |
| 搭載チップ | Qualcomm QCC3091 (Snapdragon Sound対応) |
| 対応コーデック | aptX Lossless, aptX Adaptive, LDAC, LC3, AAC, SBC |
| Bluetooth規格 | Bluetooth 5.4 / LE Audio / Auracast対応 |
| ノイズキャンセリング | QuietSmart 3.0 (最大-50dB) |
| 再生時間 (ANC OFF) | 単体最大12時間 / ケース込み最大54時間 |
| 再生時間 (ANC ON) | 単体最大8時間 / ケース込み最大36時間 |
| 充電機能 | 急速充電 (10分で3時間再生) / ワイヤレス充電対応 |
| マルチポイント | 対応 (LDACとの併用が可能) |
| マイク | 左右計6基 (cVc 8.0 + AIノイズリダクション) |
| 防塵防水性能 | IP55相当 |
| 重量 | イヤホン片側 約5.0g / ケース込み 約54g |
| 付属品 | 充電ケース、イヤーピース(XS/S/M/L/XL)、USB-Cケーブル、取説 |
この表からも分かる通り、1万円台前半という価格設定に対し、搭載されている機能の密度が非常に高いことが分かります。特に「ハイブリッドドライバー」「aptX Lossless」「LDAC」「マルチポイント併用」「54時間再生」というキーワードがすべて揃っている機種は、市場全体を見渡しても稀有な存在です。
EarFun Air Pro 4+ の導入メリットと留意点
導入するメリット(ここが素晴らしい)
最大のメリットは、やはり「妥協のないスペックが生むコストパフォーマンス」です。通常、この価格帯では音質か機能のどちらかが削られがちですが、本機はその両方を高いレベルで両立しています。
特に、Androidスマートフォンユーザーにとっては、aptX LosslessやLDACによる高音質再生の恩恵を最大限に受けられるため、非常に満足度の高い選択肢となります。また、独自構造によるハイブリッドドライバーのサウンドは、ドンシャリ傾向の強い安価な製品とは一線を画す、解像度の高いリスニング体験を提供してくれます。
購入前の留意点
あえて注意点を挙げるとすれば、aptX LosslessやSnapdragon Soundといった高音質機能の恩恵をフルに受けるためには、再生側のスマートフォンもそれらに対応している必要がある点です。iPhoneユーザーの場合、コーデックはAAC接続となりますが、それでもハイブリッドドライバーによる基礎音質の高さや、強力なANC機能、マルチポイントの利便性は十分に享受できます。
また、豊富なイヤーピースサイズ(XS〜XL)が同梱されていますが、ハイブリッドANCの効果を最大化するためには、自分の耳に隙間なくフィットするサイズを慎重に選ぶ必要があります。
まとめ:新時代のスタンダードとなり得る一台
EarFun Air Pro 4+は、ブランドが積み上げてきた技術の粋を集めた、非常に完成度の高い完全ワイヤレスイヤホンです。独自の「オフアクシス配置音響構造」による音質へのこだわり、最新チップによる接続性とコーデックの網羅性、そして実用的なバッテリー性能とノイズキャンセリング。これらすべてを1万円台前半でパッケージングした企業努力は賞賛に値します。
「初めての完全ワイヤレスイヤホンで失敗したくない」という方はもちろん、「手持ちのイヤホンからワンランク上の音質へステップアップしたい」という方にとっても、自信を持っておすすめできる一台です。
毎日の通勤時間をコンサートホールのような音楽空間に変えたい、あるいはカフェでの作業に集中できる静寂を手に入れたい。そうお考えであれば、EarFun Air Pro 4+はあなたの生活を豊かにする最良のパートナーとなるはずです。ぜひ一度、そのサウンドと静寂を体感してみてください。


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