エレキギターをこれから始める人が知りたいのは、どの本なら本当に弾けるようになるのか、そして自分の練習時間や学び方に合うのはどれか。この記事では、超初心者からやり直し組までを想定して、定番から新定番まで5冊を比較し、目的別に最適な一冊を提案する。
結論から言うと、動画や音源連動の有無と、練習設計(短時間×毎日か、週末集中か)で選ぶのが近道だ。本文では各書の特徴・向き不向き・構成を実例ベースで解説し、失敗しない選び方をまとめる。
この記事で得られること
おすすめのエレキギター教則本を探している人の主な悩みは、どの本なら挫折せずに基礎と1曲を両立できるか、DVD/CD/動画の違いは何か、そしてどのくらいの難易度なのか、に尽きる。この記事では各本の狙いと到達点を可視化し、到達イメージ(最初の1曲、コード伴奏、パワーコード、リードの入口)まで具体化する。最後に用途別おすすめ表とFAQを用意した。
こんな人におすすめ
- ギターは全く初めてだが、まずは1曲または定番リフを鳴らしたい人
- パワーコード、簡易コード、アンプの基本セッティングを最短で掴みたい人
- 音源や動画で手本を確認しながら進めたい、独学派
- 毎日5分〜15分の短時間練習、または週末のまとまった時間で進めたい人
おすすめの教則本を比較してみた!
以下の表は、音源/映像連動、対象レベル、主な到達点、出版情報をまとめたもの。
書名 | 媒体・付属 | 想定レベル | 主な到達点・特徴 | 出版社 | 発売日 | ISBN |
---|---|---|---|---|---|---|
はじめよう! エレキ【CD付】 | CD、曲集24曲 | 初級 | 60分で1曲マスター(クロスロード)、リフ・パワーコード・簡易ソロ、定番邦楽多め | ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス | 2017/7/23 | 978-4636947267 |
できる DVDとCDでゼロからはじめる エレキギター超入門 | DVD、CD、小冊子 | 超初心者〜初心者 | 1〜2本指からの段階学習、アンプ音作り、基礎〜簡単曲、週末学習でも可 | リットーミュージック | 2017/10/16 | 978-4845631315 |
新版 世界一わかりやすいエレキギターの教科書 | 動画連動(二次元コード)、オールカラー | 超初心者〜中級入口 | 図解強化、視認性重視、基礎〜実践まで広く網羅 | KADOKAWA | 2024/11/1 | 978-4046071118 |
超初心者でもいきなり弾ける! エレキギター入門【DVD&CD&動画連動】 | DVD、CD、動画連動 | 超初心者〜中級入口 | いきなり曲で学ぶ、全フレーズ模範演奏・カラオケ、挫折防止TIPS | アルファノート | 2022/7/16 | 978-4906954971 |
1日5分ではじめるエレキギター超入門 | CD、YouTube動画連動 | 超初心者〜やり直し | 3か月プラン、時短メニュー、見やすい大判譜面、理論の入口も収録 | アルファノート | 2023/7/23 | 978-4911000076 |
各書のレビュー(内容・構成・向き不向き)
はじめよう! エレキ【CD付】(ヤマハ、2017)
ギター名称、フォーム、チューニングなど最初の壁をしっかり抑えつつ、60分の短期集中導線で「クロスロード」を1曲仕上げる設計。その後にパワーコードやバッキング、簡易ソロに触れ、邦楽中心の全25曲を段階的に消化できる。曲名をモチベーション源にしやすく、リフから入る人にも相性が良い。
到達イメージは、リフを原曲風に鳴らし、オクターブやパワーコードで伴奏できるレベル。録音付きの練習フレーズでテンポ感を掴みやすい一方、動画がないため右手のニュアンスはCDだけではつかみにくい場面もある。邦楽ラインナップに魅力を感じるなら選択価値が高い。
向いている人:曲でモチベ維持、CDで耳を鍛えたい人。
注意点:映像なし。機材セッティングの視覚的理解は別途補助が必要になる場合あり。
できる DVDとCDでゼロからはじめる エレキギター超入門(リットー、2017)
紙面を超初心者向けに最適化し、1〜2本指で成立する譜例から段階的に積み上げる。DVDで「弾く前の準備」やフォームを視覚的に理解でき、CDの模範+スロー演奏で手本を反復確認可能。アンプの基本セッティング(三種の代表的音色)を明示しているのも現場的だ。週末練習を想定した説明もあり、短時間で達成感を積む設計が目立つ。
一般的な評判として「読みやすい」「要点が絞られて挫折しにくい」との声がある。基本フォーム、ピックの持ち方、セーハ(F)の入口など、つまずきポイントにQ&Aで寄り添っているのが強み。
向いている人:映像+音源で段階学習、アンプの基礎音作りも同時に学びたい人。
新版 世界一わかりやすいエレキギターの教科書(KADOKAWA、2024)
ワイド判・全ページカラー化で視認性が高い。二次元コードからのデモ演奏参照で、譜面と動画の往復がしやすい。入門者〜中級入口までを見据えた広いカバー範囲で、図版・写真も多く、運指やピッキングの角度などを視覚で理解したい人に合う。YouTube発の著者らしく、今の時代の学び方(短尺で確認→手元で反復)に寄せた導線が想像しやすい。
向いている人:カラー図版で直感的に理解したい、基本から実践までを1冊で俯瞰したい人。
超初心者でもいきなり弾ける! エレキギター入門【DVD&CD&動画連動】(アルファノート、2022)
「曲から入る」を徹底し、全フレーズの模範演奏・カラオケを用意。DVD約2時間20分の丁寧なレッスン動画で、手元・右手の動きや音作りを視覚的に掴める。お助けTIPSで挫折ポイント(F、リズム、チョーキングなど)を手前で解消する設計。基礎をショートカットするのではなく、曲に埋め込む形で学べるのが肝だ。
向いている人:とにかく曲を鳴らして楽しみながら続けたい、動画で丸ごと真似したい人。
注意点:体系的理論の骨太さは、必要に応じて別途補完が望ましい。
1日5分ではじめるエレキギター超入門(アルファノート、2023)
明確な3か月ロードマップを提供。毎日5分の「一点集中タスク」を積む方式で、忙しい社会人や学生でも継続を設計しやすい。譜面が大きく読みやすいレイアウトも評価されやすいポイント。CDとYouTube動画で、音と視覚の両面から確認可能。弦交換などの実用動画もあり、生活に根付いた学習ができる。
一般的な声としては「わかりやすく実践的」「動画の説明が親切」「譜面が大きくて見やすい」。曲ベースと基礎のバランスが良く、やり直し勢にも合う。
向いている人:短時間×継続で確実に積み上げたい、生活リズムが不規則な人。
注意点:より長時間の一気通貫学習には物足りない場面もある。
メリット / デメリット比較
書名 | メリット | デメリット |
---|---|---|
はじめよう! エレキ | 邦楽名曲多数でモチベ維持、60分で1曲導線、CDで耳が鍛えられる | 動画なしで右手ニュアンスが掴みにくい場面 |
できる 超入門 | DVD+CD+小冊子で死角が少ない、段階学習が丁寧、アンプ三種音作りが実用的 | 深い理論・最新機材の詳細は扱い薄め |
新版 世界一わかりやすい教科書 | ワイド判カラーで視認性良、動画連動、入門〜初中級まで広く俯瞰 | カバー範囲が広い分、超入門だけに絞ると情報過多になる可能性 |
超初心者でもいきなり弾ける! | 曲先行で挫折防止、長尺動画で手元が明快、カラオケ付き | 理論の体系化は別途補完が望ましい |
1日5分〜3か月プラン | 時短継続設計、譜面が大きく見やすい、生活導線に馴染む | まとまった長時間で一気に進めたい人には遅く感じることも |
実用観点のレビュー軸(操作性・学びやすさ・音作り・コスパ)
ここでは体験談ではなく、各書の構成や付属メディアから妥当に推測できる使い勝手を評価軸で述べる。
学びやすさ(導線設計)
- 超入門での挫折回避という点では、「できる 超入門」と「超初心者でもいきなり弾ける!」が頭一つ抜ける。前者は1〜2本指導線とQ&Aで小さな成功を積ませ、後者は曲先行+TIPSでテンションを保つ。
- 毎日短時間での継続には「1日5分〜3か月プラン」が圧倒的に相性が良い。
- 曲モチベ派は「はじめよう! エレキ」の邦楽24曲収載が効く。
視覚・音声サポート
- 手元やピッキング角度、アンプのダイヤル位置など、視覚で理解したいなら動画連動(新版 世界一わかりやすい教科書/超初心者でもいきなり弾ける/できる 超入門)が強い。
- 右手の細かなノリを音で反復したい人はCD付き全般で恩恵があるが、スロー演奏の併記が丁寧な「できる 超入門」は特に初心者向け。
音作り(アンプ・セッティング)
- 明示的に3種類の代表的音色(歪み・クリーン・ブルース系)を章立てで示すのは「できる 超入門」。最初期の「自分の音」を作る迷いが減る。
- 動画ベースで手元・アンプを確認できる「超初心者でもいきなり弾ける!」も、実機の操作感を掴みやすい。
コスパ(到達点と継続性)
- 1冊で入門〜初中級入口まで見渡したいなら、「新版 世界一わかりやすい教科書」の網羅性が心強い。
- 週末に一気に1曲という到達を求めるなら、「はじめよう! エレキ」の60分マスター導線は効率が良い。
ギター練習の注意点(取り扱い・練習環境)
- 音量管理:アンプ練習は小音量でも歪みが作れる設定を活用。夜間はヘッドホンアウト対応のアンプやオーディオインターフェースの利用が現実的。
- 身体負荷:ストラップ長を適切に。手首の角度が急になりすぎると痛めやすい。連続練習は15〜20分ごとに小休止。
- 弦交換:書籍付録や動画で必ず安全手順を確認。古い弦は目や指を傷つけないよう廃棄。
- 機材互換:初期の弦ゲージ変更やドロップチューニングは調整が必要な場合がある。自信がなければショップで相談。
用途別おすすめ(最短ルート表)
用途 / 状況 | 推奨タイトル | 理由 / 使い方のコツ |
---|---|---|
週末だけで「まず1曲」を仕上げたい | はじめよう! エレキ | 60分で1曲の導線と邦楽多めの曲集でモチベ維持。CDで手本→細切れで反復。 |
完全ゼロから基礎を段階的に積みたい | できる 超入門 | 1〜2本指からの設計、DVD+スロー演奏、Q&Aでつまずき回避。 |
図解で直感的に理解、長く使える1冊が欲しい | 新版 世界一わかりやすい教科書 | ワイド判フルカラー+動画連動、入門〜初中級まで見通せる。 |
曲から入って楽しく続けたい | 超初心者でもいきなり弾ける! | いきなり曲→模範演奏→カラオケで実践、挫折防止TIPSが豊富。 |
忙しくて毎日5〜10分しか取れない | 1日5分〜3か月プラン | 日別メニューで迷わず継続、譜面が大きく短時間でも進めやすい。 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 独学だとフォームが崩れないか不安。映像連動が必須?
A. 必須ではないが、最初の1〜2か月は映像で手元の角度やストローク軌道を確認できると修正が早い。映像なしを選ぶ場合は鏡やスマホ撮影で自己チェックを推奨。
Q2. 最初の1本目でエフェクターは必要?
A. 不要。アンプのゲイン、トーン、ボリュームで代表的な3音色(クリーン/クランチ/ハイゲイン)を作る練習が先。音作りの章がある本(例:できる 超入門)だと効率が良い。
Q3. Fコードが押さえられず挫折します。
A. 省略形→部分セーハ→フルセーハの順に分解して練習する。本のQ&AやTIPSに段階的な攻略が記載されているものを選ぶと改善が早い。1日5分〜の本は分割練習に向く。
Q4. タブ譜だけで進むと読譜力が育たない?
A. 入門段階ではタブ譜で運指に集中するのが合理的。余力が出てから五線譜やリズム読みを追加すればよい。二段表記の譜例やスロー音源がある本は遷移がスムーズ。
Q5. 邦楽の定番を中心に覚えたい。
A. はじめよう! エレキは邦楽比率が高く、リフ・伴奏・簡易ソロの三点セットで曲を楽しみやすい。モチベーション維持に強い。
Q6. 価格や最新の在庫、改訂の有無は?
A. 本記事では不明。購入時は各出版社・販売店の最新ページを確認してほしい。
まとめ:読者タイプ別のおすすめ!
- 最短で1曲+邦楽ラインナップ重視なら「はじめよう! エレキ」。CDで耳を鍛えつつ、短期達成を実感しやすい。
- 超入門を体系的に、映像+音源で安全に進みたいなら「できる 超入門」。アンプの基本音作りまで含むのが実用的。
- 1冊で長く使い回し、図解で直感的に理解したいなら「新版 世界一わかりやすい教科書」。カラー&動画連動で視認性が高い。
- とにかく曲で楽しく続けたいなら「超初心者でもいきなり弾ける!」。模範演奏とカラオケで即実践。
- 忙しくても継続重視なら「1日5分〜3か月プラン」。日別メニューで迷いがなく、やり直し勢にも合う。
どれを選んでも、1日5〜10分の反復と、週に一度の「通し演奏」を組み合わせると伸びが早い。あなたの生活リズムと学び方に合う一冊を選び、まずは最初の1曲を鳴らしてみてほしい。挫折しないコツは、音源・動画を真似して「同じ音が鳴った瞬間」を積み重ねること。そこから先の楽しさは、勝手についてくる。
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